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神戸・岡場の司法書士が解説! 遺産承継とは?ー相続登記との違いー【遺産承継 第1回】

👉 本記事は「遺産承継シリーズ」の一部です。
シリーズ全体の一覧は記事の末尾にまとめています。

🍀はじめに

家族が亡くなると、遺族は悲しみに浸る間もなく、多くの手続きを迫られます。役所への届け出、公共料金の精算、銀行口座の凍結解除、不動産の名義変更……。

この一連の手続きの中で、近年、司法書士の専門分野である「遺産承継」という言葉を耳にする機会がも増えてきました。ところが、「相続登記とどう違うのか?」「どこまでを司法書士に依頼できるのか?」という点は、一般の方には分かりにくいようです。

本記事では、遺産承継の基本的な意味と相続登記との関係性をわかりやすく整理し、これから相続手続きを考える方の参考になる情報をお届けします。神戸市北区(岡場・有野エリア)を中心に相続支援を行う司法書士の視点から解説します。


🍀遺産承継とは?

「遺産承継」とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続人へ引き継ぐために行う、包括的な手続きを指します。
対象となるのは、不動産だけではありません。

  • 銀行や信用金庫などの預貯金
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 保険契約に基づく給付金
  • 自動車などの動産
  • 公共料金や契約の精算

遺産承継とは、「不動産に限らず、相続財産全体を整理・承継する手続き」といえます。
司法書士は、相続人から委任を受けて、これらの財産を一括して承継させるための実務を担うことができます。特に相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を取得するかを調整し、必要書類の作成から名義変更の申請まで代理で進めることが可能です。


🍀相続登記との違い

ここでよく混同されるのが「相続登記」です。

相続登記とは?
相続登記は、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ移す手続きです。2024年4月からは義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しなければならなくなりました。違反すると過料の対象となるため、避けられない重要な手続きです。

遺産承継との関係性
・相続登記:対象は不動産のみ。法律上の義務あり。
・遺産承継:不動産+預貯金+株式+保険など、幅広い財産を包括的に扱う。義務ではないが実務上は不可欠。

両者は対立するものではなく、「遺産承継の一部に相続登記が含まれる」という関係です。


🍀遺産承継と相続登記の関係(図解)

【遺産承継】(すべての財産の承継手続き)
├─ 預貯金の払戻し
├─ 株式・投資信託の名義変更
├─ 保険金の請求
├─ 自動車の名義変更
└─ 不動産の名義変更(=相続登記

👉 ここがポイント!
相続登記は「不動産に関する遺産承継の一部」です。
遺産承継には銀行や証券会社での手続きも含まれるため、相続登記だけ終えても相続手続き全体が完了するわけではありません。


🍀よくある誤解Q&A

Q:相続登記をすれば銀行口座の凍結も解除されますか?
A:いいえ。不動産登記と銀行の手続きは別です。金融機関ごとに専用の相続手続きが必要です。

Q:司法書士に相続登記を依頼すれば、他の相続手続きも全部やってもらえるのですか?
A:司法書士は不動産登記の専門家ですが、依頼内容によっては「遺産承継業務」として預貯金・株式・保険などの名義変更もまとめて対応可能です。依頼時に範囲を確認することが大切です。


🍀遺産承継の実務で直面する課題

  • 金融機関ごとに手続きが異なる
  • 戸籍収集が煩雑で時間がかかる
  • 相続人全員の合意が必要
  • 放置すると生活費や介護施設費の支払いに支障が出る

こうした課題に対応するため、司法書士に依頼するメリットは非常に大きいといえます。


🍀司法書士に依頼するメリット

司法書士が遺産承継業務をサポートすることで、次のようなメリットがあります。

  • 戸籍収集から遺産分割協議書の作成、相続登記までワンストップで対応できる
  • 金融機関や証券会社との煩雑なやり取りを代理できる
  • 法律に基づいた正確な手続きで、余計なトラブルや二度手間を防げる
  • 税務申告や紛争解決など、司法書士の範囲を超える案件は税理士・弁護士と連携し、必要に応じて対応可能

相続人ご自身で一つ一つ対応するよりも、時間・労力・安心感のすべてにおいて大きな差が出ます。
また、相続人が遠方にいる場合や高齢の相続人が多い場合には、司法書士に依頼することで負担を大きく軽減できます。

🍀まとめ

  • 遺産承継とは、不動産に限らず預貯金や株式なども含めた、財産全体を整理・承継するための包括的な手続きです。
  • 一方、相続登記は不動産の名義変更に限定された手続きであり、法律上も義務づけられています。
  • 実務では、相続登記と金融機関での承継を並行して進める必要があり、相続登記は遺産承継の一部に位置づけられます。
  • 司法書士に依頼すれば、複雑で煩雑な相続手続きを一括で効率的に進めることができ、安心して次の世代へ財産を引き継ぐことが可能です。


★次回予告★

次回「第2回 遺産承継の全体の流れと必要な準備」では、相続が始まったときに必要となる具体的なステップを、時系列に沿ってわかりやすく解説します。戸籍収集や遺産分割協議、各種財産の手続きの全体像を把握しておくことで、余計な混乱を防ぎ、落ち着いて手続きを進めることができます。


「遺産承継シリーズ」

  • 第1回:遺産承継とは?相続登記との違い(本記事)
  • 第2回:遺産承継の全体の流れと必要な準備(公開予定)
  • 第3回:預貯金・株式・保険など金融資産の承継手続き(公開予定)
  • 第4回:不動産の承継と相続登記義務化(公開予定)
  • 第5回:遺産承継でよくあるトラブル事例と対策(公開予定)
  • 第6回:死後事務委任・遺言執行と遺産承継の関係(公開予定)
  • 第7回:司法書士に遺産承継を依頼するメリットとまとめ(公開予定)

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